たとえ権限規程が複雑でも、その稟議は電子化できる

2019年08月22日

権限規定が複雑でも、その稟議は電子化できる

近年、稟議書を電子化するために、ワークフローシステムを導入する企業が増えています。その効果はペーパーレスによるコスト削減や進捗状況の可視化など様々ですが、場所や時間の制約を受けずにスピーディーに稟議を進められるようになる点が最大の魅力なのではないでしょうか。

しかし一方で、長年紙で運用してきた稟議は電子化のハードルが高いと思われがちなのも事実です。そしてその要因は、それぞれの企業特有の稟議の権限規程にあるようです。

稟議の権限規程を承認ルートに落とし込む

企業にとって稟議とは、様々な事項を意思決定するための重要な仕組みです。合理的で迅速な意思決定を行うため、案件の内容に応じて現場の職位者や管理職を決裁者とすることも多く、その統制をとるために"決裁権限規程"や"職務権限規程"などの権限規程が設けられます。業種や規模にもよりますが、権限規程の数が数十から数百パターンにもおよぶ企業も存在します。

ワークフローシステムで稟議を電子化するには、それらの権限規程を整理し、システム上の"稟議書フォーム"と"承認ルート"に落とし込む必要があります。"稟議書フォーム"については、1種類で全てを担ったり目的や権限に応じて複数用意したりと様々ですが、いずれにしても既にある稟議書のひな型をシステムにインポートできれば電子化することが可能です。ところが"承認ルート"については、権限規程が複雑になればなるほど、どう電子化すればよいか悩まれることが多いようです。「電子化はしたいけど、うちの稟議は権限規程が複雑だから無理でしょ」と考え、やむなく紙での稟議を続けている方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし実際には、電子化できないほど難解な権限規程はごく稀です。過去の事例を振り返ると、現在の稟議書の運用体制やその状況によって、それぞれの組織に適した承認ルート設計の手法がありましたので、この記事ではそれをまとめてみたいと思います。

稟議のルート設計、3つのアプローチ

① 権限規程に対応する承認ルートを1つずつ作成する

1つ目は、それぞれの権限規程に対応する承認ルートを1対1で作成する手法です。権限規程と承認ルートの対応関係が明瞭であることから、この手法を選択するケースが多くみられます。

ただし、考え方がシンプルである反面、システム管理者にとっては権限規程の数に比例して初期登録や権限規程変更時のメンテナンスの負荷が上がってしまうというデメリットもあり、その点を考慮した上で進めなければなりません。

申請者にとっては、確実に自らが選択したルート上の承認者に回すことができますが、その時の稟議の内容に応じたルートを選択する必要があります。

稟議|申請者がルートを選択

② 条件分岐でルートを集約する

2つ目は、稟議書フォームに入力された値によってルートを特定する方法です。数値項目やチェックボックス・コンボボックスなどの選択項目の値を条件にしてルートを自動で振り分けます。例えば、金額などの明確な条件が権限規程にある場合に、入力された値次第でルートが変化するように設定できます。

細かな条件で派生するルートを1つにまとめて管理できるため、ルートの登録数が減ります。①に比べると初期登録はやや複雑にはなりますが、メンテナンスの負荷が軽減できます。

また、ルートは申請後に全て自動的に決定されますので、申請者がルートをあらかじめ細かく把握している必要はなくなります。その点、申請者にも優しい設計と言えます。

稟議|金額により自動で選択される承認ルート

③ 稟議の途中でルートを指定する

3つ目は、ルートを手動で指定する手法になります。例えば、あらかじめルート上に受付担当者を登録しておき、その受付担当者が稟議書の内容を確認して、その後の承認者を指定した上で稟議書を回します。

極端に権限規程が複雑なケースにおいては、①②の手法で全ての権限規程を登録してしまうとルート設定や条件分岐の数が膨大になってしまいがちですが、この手法を選択することでその問題は回避できます。「設定したルートは1つだけ」という過去の事例もありました。結果として、システム管理者の初期登録やメンテナンスの手間が激減したということです。

この手法も②同様に申請者に優しい設計となります。その反面、権限規程を把握している受付担当者が必要になり、運用上の負荷がそこに集中します。既に紙の稟議書の運用において、総務部門などの受付担当者が承認者・決裁者を都度判断しているような場合には、その流れをそのまま電子化できるため、この手法との相性が良いです。

稟議|受付担当者が承認ルートを選択

企業・組織に合ったルートを実現できるかがポイント

以上、ルート設計の手法を3つご紹介しました。実際の運用では、いずれか1つの方法を選択するというよりは、適宜組み合わせて設計するケースが多いです。

システムを利用するのですから、全ての権限規程を自動化するのが理想だと思われるかもしれません。しかし実践においては、③の手法のように一部手動の操作を残すことで、全体としては最も効率的になるということもありえます。もしも、稟議書の権限規程が複雑な場合には、現在紙の稟議書がどのように運用されているかを振り返り、まずはそのままルートに描いてみるところから検討を始めましょう。

Create!Webフローのサポートチームは、ただ単に紙を電子化することがゴールであるとは考えておりません。ユーザビリティやメンテナンスなども考慮しつつ、お客様にとって最適なルート設計ができるようにご支援いたします。サポート窓口やワークフロー構築相談会までお気軽にご相談ください。

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