DX推進の一環として、紙による申請・承認業務の課題を解決
商工会議所向け業務システム「TOAS」との連携も実現

浜松商工会議所 様

浜松商工会議所(写真左より)
総務企画部 情報推進課 課長 伊達 克彦氏、 総務企画部 情報推進課 係長 鈴木 智也氏、 理事 会員支援部長 鈴木 純一氏

■業種
サービス業

■事業内容
静岡県浜松市内の中小企業・小規模事業者の経営支援、
補助金申請・創業のサポート、共済制度の推進、
会員間交流・情報共有・地域振興など

■適用業務
稟議書・報告書などの承認・決裁処理

導入前の課題
  • 紙による申請・承認業務では、出張や会議で回覧が滞り、どこで止まっているかも把握できなかった
  • 決裁書類一式をバインダーで保管していたが、探すのに苦労し、書類の紛失も発生していた

導入後の効果
  • 進捗状況がわかるようになり承認業務が迅速化。タブレットからの利用で外出先でも承認が可能に
  • TOASとの連携により、ワークフローの一元管理と振替伝票承認の効率化を実現

導入の背景
所内のDX推進に取り組む中で、
紙の回覧・保管の非効率が課題に

浜松商工会議所
総務企画部 情報推進課 課長
伊達 克彦氏

浜松商工会議所は静岡県浜松市を中心に活動する地域総合経済団体。地域の企業や小規模事業者に対する経営相談・支援、補助金申請や融資に関する情報提供、経営ノウハウやビジネススキルを学ぶセミナー・研修会、地域経済の活性化を目的としたイベント・展示会の開催といった多様なサービスを提供している。2025年度までの3ヶ年中期行動計画では「経営力強化と変革への挑戦」をスローガンに掲げ、「企業の元気づくり(企業支援)」「都市力づくり(地域振興)」「強い基盤づくり(組織強化)」の実現に向けたさまざまな施策に取り組んでいる。

近年は会員企業のDX支援を推進するとともに、所内のDX実現に向けた取り組みにも着手し、それらを担当する情報推進課を2024年4月に新設するなど、体制強化にも注力。その一環として、2020年頃よりデジタル技術を活用した業務改善を少しずつ進め、所内のペーパーレス化や新しい勤怠管理システムの導入などを実施してきたという。

そうした中、新たなデジタル施策として取り組み始めたのが、申請・承認処理の電子化だった。

「これまではExcelを使って作成した稟議書や報告書を紙に印刷し、添付資料とともにバインダーに挟んで回覧するという形で申請・承認処理を行っていました。この方法では回覧に時間がかかるほか、どこで止まっているのか書類を探すという無駄な作業も発生していました。また、決裁後の書類はキャビネットで保管していたものの、過去の書類を見返す時に書類の順番が入れ替わったり添付書類が散逸したりする問題もありました」(総務企画部 情報推進課 課長 伊達克彦氏)

導入のポイント
シンプルでわかりやすい基本機能
TOASとのシステム連携にも着目

浜松商工会議所
理事 会員支援部長
鈴木純一氏

浜松商工会議所は、新しいワークフローシステムについてインターネットでの調査を経て、複数のソリューションを候補に挙げた。

「あまり多機能なものはいらず、シンプルに申請フォームや承認ルートを作成でき、決裁された文書が適切に管理できる、わかりやすいシステムを探しました。また、ベテランの職員であっても戸惑うことなく使えるように、従来の紙の書類と様式を変えずにフォームを作成できることも重視しました。」(総務企画部 情報推進課 係長 鈴木智也氏)

また、クラウド型で利用できることも必須の要件だったという。

「最近は基本的にクラウド型のシステムを採用するようにしています。サーバー管理やリプレイスなどに手間をかけず、なるべく身軽に運用していく方針です。また、役職者は出張や会議が多いこともあり、外出先からも承認処理ができることを目指していました」(鈴木智也氏)

こうして、紙ベースでの申請・承認処理からの脱却を目指してワークフローシステムの導入を検討し始めた浜松商工会議所だが、実はもう一つ別の狙いもあった。それは浜松商工会議所が運用している「TOAS(商工会議所トータルOAシステム)」との連携だった。TOASとは、全国の商工会議所の約7割が導入している商工会議所向けの業務システムだ。そのTOASから出力している経理伝票などの書類についても、ワークフローシステムを使って運用管理しようと考えていたという。

「稟議書や報告書を回すためにワークフローシステムを導入するのであれば、承認処理が必要な他の業務にも適用できると効率的です。そこで通常のワークフロー処理に加えて、TOASとの連携が可能なソリューションを探すことにしました」(理事 会員支援部長 鈴木純一氏)

こうした要件に合致するソリューションを選定した結果、インフォテックのCreate!Webフローに白羽の矢が立った。

導入の効果
紙運用の手間を削減し、承認を迅速化
外出先からでもしっかり承認

浜松商工会議所
総務企画部 情報推進課 係長
鈴木智也氏

浜松商工会議所から問い合わせを受けたインフォテックは、Create!Webフローの販売パートナーとして中部・東海地方を中心に事業展開するCMC Solutionsを紹介。浜松商工会議所は、CMC Solutionsと共にCreate!Webフローの機能の詳細やシステム連携の実現性について確認を進め、正式にCreate!Webフローの導入を決定した。

「運用開始までのスケジュールがタイトだったこともあり、商工会議所の業務で基本となる、稟議書、事業報告書、振替伝票の3種類のワークフロー作成をCMC Solutionsさんにお願いしました。そのほかのワークフローはそれをベースにして内製化しています」(鈴木智也氏)

システム連携の実装についてもCMC Solutionsが支援した。「書類の保管先をファイルサーバーの部署別フォルダーへ自動で振り分けたい」という要件には、Create!Webフローの「決裁データ出力オプション」と追加開発したバッチ処理とを組み合わせて対応。TOASとの連携については、浜松商工会議所とCMC Solutions、TOAS提供元の3者によって密に検証を進めた結果、TOASからデータを送信するとCreate!Webフローの「申請フォームリンク」機能で申請書を自動起票するという連携を実現した。

こうして2021年4月にCreate!Webフローの運用を開始した浜松商工会議所では、現在までにさまざまな導入効果を実感しているという。

「導入前に抱えていた課題はすべて解決し、稟議書をはじめとする10種類の承認ワークフローの電子化を完了できました。これにより途中で書類が紛失するといった事故や完了後の書類保管の手間もなく、あとから見返すときにも探しやすくなりました。また、補助金などの申請が大量に発生する時期には、承認者が自分に回ってくる処理をあらかじめ把握できる予定機能も好評です」(鈴木智也氏)

「処理がどこで止まっているかを特定できるので、承認が停滞しなくなりました。以前では承認者の出張や会議が重なると決裁まで1週間程度かかることもありましたが、現在は半分ほど、最短だと1時間で完了することもあるくらい、承認時間が短縮されました。ちょうど同時期に役職者にタブレットを配布したこともあり、移動中などのすきま時間を使ってしっかり申請内容を確認できるようになるなど、承認業務の質の向上にも繋がっています」(鈴木純一氏)

■ Create!Webフローによる申請・承認業務の電子化のイメージ

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今後の展望
ペーパーレス化をさらに進めながら
TOAS連携の強化にも注力

すでに3年以上にわたってCreate!Webフローを活用している浜松商工会議所だが、今後も活用の幅を広げていく方針だ。

「現時点では細かい申請書類の一部が未対応なので、今後はすべての書類をワークフローに乗せてペーパーレス化を進めていきます。また、現在役職者のみに配布しているタブレットを他の職員にも配布することでどこからでも申請しやすくできるので、ハードウェアの整備も含めて検討していきたいです」(鈴木智也氏)

「現状のTOASとの連携では、TOASから出力した伝票情報をワークフローに乗せて承認・決裁処理を行っていますが、決裁後のデータをTOASに戻すところまで実現したいという構想があります。TOAS提供元にも協力を頼んで、連携強化に取り組んでいければと思います」(鈴木純一氏)

「今回のワークフロー導入には、これをきっかけとしてIT化やDXへの所内の意識を高めたいという思いがありました。今後は当会議所の経験やノウハウを伝えることで、会員企業や他の商工会議所のDX推進にも繋がっていくことを期待しています」(伊達氏)

浜松商工会議所の皆様と、弊社SIパートナーの株式会社 CMC Solutionsの皆様


※取材 2024年8月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。

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