“みんなで作るワークフロー”で、もっと効率的に働ける環境へ
現場主体の運用とシステム連携で業務負荷を大幅軽減
イノチオホールディングス株式会社 様
経営支援本部 経営管理部 デジタルソリューション課 横井 佑香氏、
経営支援本部 経営管理部 デジタルソリューション課 課長 倉員 武志氏、
経営支援本部 人事総務部 総務課 鬼武 玲奈氏
■業種
農業関連サービス(建築・販売・農業⽣産)
■事業内容
農業用ビニールハウスの設計・施工・販売、およびビニールハウスのリフォーム、
スマート農業の推進、営農サポート、農薬・肥料、花き品種の開発、土壌分析・
病害虫診断など、農業を総合的に支援する事業を展開
■適用業務
稟議書のほか、人事・総務・経理等各部門で管理する各種申請書
- 従来のワークフローシステムでは、全ての作業をIT部門でしか行えなかった
- 承認・決裁処理の電子化を進めたいという要望が多数寄せられるが、すべてに対応するのは困難
- 各部署が主体となり、140種類の申請書を電子化。ワークフロー活用への全社的な協力体制が整った
- システム連携機能の周辺開発により、業務担当者の手作業の負荷を大幅に軽減できた
導入の背景
機能面・運用面の課題を解決すべく
ワークフローの刷新を決断
イノチオホールディングス株式会社
経営支援本部 経営管理部
デジタルソリューション課 課長
倉員 武志氏
イノチオグループは、1909年に「石黒薬局」として創業した115年の歴史を誇る老舗企業だ。現在の主力事業となっている「ビニールハウスの製造・施工をワンストップで対応できる企業」として発展し、農業用施設・栽培システム、農薬・肥料、花き品種の開発・販売や栽培コンサルティングなど、多岐にわたる農業支援事業を国内外で展開する企業グループへと成長を遂げていった。4つのビジネスユニットに計14の法人を擁し、農業分野における高度な技術とノウハウにより、持続可能で効率的な農業の実現に広く貢献している。
そんな同グループを統括するイノチオホールディングスでは、従来からワークフローの電子化に取り組み始めていた。しかし、他システムに付属するワークフロー機能を利用していたこともあり、ワークフローの活用は限定的だった。
「従来のワークフローシステムは、ワークフロー専用ではなかったため、機能面・運用面でいくつもの課題を抱えていました。例えばワークフローを作成するには管理者権限が必須で、プログラミングの知識も必要だったため、全ての運用作業をデジタルソリューション課のみで担わなければなりませんでした。組織変更に伴うルート変更などの設定も年度変わりのタイミングで慌ただしく行う必要がありました。さらに決裁後のデータ保管期限がわずか1年だったので、それ以後も保管するためには別途出力する手間もありましたし、以前の申請を参照して新たな申請をすることもできませんでした」(経営支援本部 経営管理部 デジタルソリューション課 課長 倉員武志氏)
このような事情から、Excelの申請フォームに記入・印刷して紙書類で回すというやりとりも多く残っていたという。業務の現場からは、紙書類で回している承認・決裁処理の電子化をさらに進めたいという要望が多数あがっていたが、従来のワークフローシステムでは対応するのが困難だと判断。別のワークフロー専用システムへの刷新を検討することにした。
導入のポイント
現場主体のワークフロー運用を模索
既存システムとの連携強化も鍵に
イノチオホールディングス株式会社
経営支援本部 経営管理部
デジタルソリューション課
横井 佑香氏
新しいワークフローシステムの導入に向けて検討を開始した同社では、最初に社内の各業務部門に具体的な課題や要望を聞き取り、整理するところから始めた。
「グループ内の多様なニーズを踏まえると、我々IT部門に限らず、実際にその業務を主管する部署の担当者が、欲しい申請フォームを自由に作れることや、業務に合わせてルートを柔軟に設計できる必要がありました」(倉員氏)
こうした要件を満たす製品を模索するなか、古くから取引関係にあったシステムインテグレーターのCMC Solutionsに相談し、最適なソリューションの提案を依頼したところ、インフォテックの「Create!Webフロー」の紹介を受けた。
さっそく評価版を取り寄せておよそ2ヶ月かけて試用したのち、新しいワークフローシステムとしてCreate!Webフローを選定した。
「Create!Webフローは、ITの専門家でなくてもフォームやルートを作成できることや、管理機能の権限を役割に応じて柔軟に付与できることにより、総務課などの業務の主管部署が主体となって各ワークフローを運用できることが分かりました。コスト面でも他ソリューションと比べて優位性があるなど、総合的に判断した結果、Create!Webフローを採用することにしました」(経営支援本部 経営管理部 デジタルソリューション課 横井佑香氏)
また、横井氏は「社内の他システムと連携を行う構想があった」と振り返る。従来のワークフローシステムでは旅費精算書などの決裁後に会計システムへ手作業で入力する後処理が残っていたが、Create!Webフローの「決裁データ出力オプション」を活用すれば、会計システムへのデータ取り込みが可能になる。この仕組みについては、CMC Solutionsが開発を支援した。
さらに、スマートフォンへの対応や、既存のアカウントシステムとシングルサインオン(SSO)ができることも選定のポイントとなった。Microsoft Entraアプリケーション プロキシという機能を活用することで、オンプレミス環境に導入したCreate!Webフローを外出先からも利用できる環境を整えている。
導入の効果
140種類の申請業務を電子化
承認・決裁処理の時間を大幅に短縮
イノチオホールディングス株式会社
経営支援本部 人事総務部
総務課
鬼武 玲奈氏
こうしてCreate!Webフローの導入を決めた同社は、ワークフローシステムの利用対象者となる800ユーザーライセンスを契約。2020年12月に本番稼働を開始し、ワークフローシステムに乗せる書類を段階的に増やしていった。
「まずは、各申請書を管轄する部署から数名ずつ担当者を選出してもらい、みんなで協力して進めることで、既存の約40種類のワークフローをCreate!Webフローへ移行しました。そこから範囲を広げていき、給与関連の申請書や資格届出の申請書、入金連絡伝票など、人事・総務・経理に関係する承認・決裁処理にCreate!Webフローを活用しています。また、顧客登録の申請書や品質関係のクレーム報告書といった営業部門が利用するワークフローにも適用しました。その数は約140種類におよびます」(人事総務部 総務課 鬼武玲奈氏)
フォームやルートの作成は基本的に各申請書を管轄する部署が行っている。誰が作っても統一感のあるフォームになるように、見出しなどの大まかなレイアウトやフォント・色などのルールを定め、部署名・名前・申請日時などの基本的情報を自動入力する項目を含めた雛形フォームを最初に共有した。この雛形をコピーしてカスタマイズしていくことで、簡単に質の高いフォームを量産できるという優れた工夫だ。
■ 基本となる申請書デザインをルール化し、統一感のあるフォームを量産できる体制を実現
Create!Webフローの導入から3年以上が経過し、様々な導入効果が得られている。
「Create!Webフローにより紙書類で回していたものを電子化したことで、承認・決裁処理にかかる時間が大幅に短縮されました。組織の世代管理と自動切り替えが可能で、別途導入した検証環境で事前に動作確認もしているので、ミスのない状態でスムーズに組織変更ができるようになりました」(横井氏)
とくに処理時間の短縮については、スマートフォンを利用して外出先からでも承認・決裁処理が行えるようになったことで、申請が集中する月末でも処理が停滞しなくなったという。
「以前では、グループトップが決裁するような承認経路が長い案件は、完了までに最大1ヶ月くらいかかることもありました。それが現在では3日程度で完了できるスピード感です」(倉員氏)
さらに、業務の現場でも定量的な効果を実際に測定したそうだ。
「イノチオグループ全体で年間約3,000件超の稟議書を回しているのですが、これが紙書類から電子化されたことで、その分の紙の使用量や保管場所を節約できています」(鬼武氏)
今後の展望
部署をまたぐ協力体制で活用推進
さらなるシステム連携も視野に
Create!Webフローの活用が進むイノチオグループだが、今後も持続的に業務の効率化が進む見通しだ。
「各部署の協力により運用の負荷が分散できました。新しい申請書をつくる時には、どの部署でもワークフローありきで考える習慣ができていて、部署の壁を超えてワークフロー活用のアイディアを出し合っています。これからもイノチオグループでは、"みんなでつくるワークフロー"を推進していきます」(鬼武氏)
「IT担当部署としては、システム連携のさらなる強化に取り組みます。現在の会計システムとの連携では、旅費精算や支払依頼でほぼ経費精算システムに近い仕組みを構築でき、経理業務の大幅な効率化を実現しました。今後はAPIの活用も視野に入れて、グループ社員の日々の業務の手間をより一層削減していきたいと考えています」(横井氏)
※取材 2024年8月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。