モバイルで建築現場の直行直帰を促進し、働き方改革を加速
現場と本社をつなぐワークフローで、スピーディーな意思決定を実現
鶴田電気株式会社 様
鶴田電気株式会社 専務取締役 鶴田雄大氏
■業種
建設業
■事業内容
電気設備工事、電気通信・弱電設備、避雷針設備、
自動火災報知設備、太陽光発電、変電設備等の設計・施工
■適用業務
受発注書類・請求書の承認、決裁処理、諸会合の出欠確認 等
- 現場社員が申請・承認のためだけに出社せざるを得ず、直行直帰が定着しなかった
- 旧システムの制約により、承認処理が煩雑で、業務の流れが停滞していた
- モバイル端末から申請・承認が可能になり、現場で業務を完結できる環境を実現
- 承認処理のリアルタイム化により、意思決定スピードが飛躍的に向上した
導入の背景
現場に寄り添って進める
建設業界の働き方改革
鶴田電気株式会社
専務取締役
鶴田雄大 氏
山梨県に本社を構える鶴田電気株式会社は、創業93年の歴史を持つ電気設備工事の専門企業である。
金融機関や教育施設、商業施設などの電気インフラを幅広く手掛けてきた。近年では首都圏へと事業領域を拡大し、オリンピック関連施設やリニアモーターカー開発プロジェクトにも参画。大手総合設備エンジニアリング企業とのパートナーシップを通じて、地域に根ざした技術と全国水準の品質を融合し、より持続可能な建設現場づくりに取り組んでいる。
一方で、建設業界全体では人手不足と高齢化が進み、働き方の見直しが急務となっている。この業界特有の課題について、同社専務取締役の鶴田雄大氏は次のように語る。
「建設業界には、長時間労働や体力的な負荷が大きいというイメージが根強く残っています。その結果、新しい担い手が減少し、高齢化という構造的な課題にも直面しています。そこで当社では、そうした従来の業界のイメージを変えるべく、業界ではまだ珍しかった完全週休二日制をいち早く導入しました。さらに、直行直帰の推進や業務の効率化にも積極的に取り組み、従業員が安心して働ける環境づくりを進めています」(鶴田氏)
しかし、この改革を進める中で既存の業務基盤には課題が残っていた。電気設備工事という業務の特性上、注文書や協力会社への支払い書類などの処理業務が多く発生していたが、当時使用していた電子決裁システムはInternet Explorer(IE)依存で、スマートフォンやタブレットには非対応。現場社員が申請や承認のためだけに会社に戻る状況が続き、理念と現場の実態との間にギャップが生じていたのである。加えて、旧システムは承認のたびにファイルをダウンロードし、Excel上で押印して再アップロードする仕様で、承認ルートが長くなるほど処理が重たくなる仕組みだった。
こうした非効率を解消し、制度と実務の両面から柔軟な働き方改革を実現するために、同社は新たなワークフローシステムの導入検討を開始した。
導入のポイント
既存の書式を生かした
無理のないシステム移行
2021年、鶴田電気は働き方改革を支える業務基盤の整備に向け、ワークフローシステムの選定を本格化させた。当初から要件として掲げていた「現場から使えること」に加え「社員が無理なく使えること」を重視した。建設業の業務では、申請書や注文書などの帳票が多岐にわたり、長年使い慣れたExcelフォーマットが社内業務の基盤となっている。そのため、システム導入によって書式を一から作り直すことは、かえって利用部門の混乱を招く恐れがあった。
複数の製品を比較検討した結果、既存の書式を活かしたまま電子化できる柔軟性と、直感的な操作性を兼ね備えたCreate!Webフロー Cloudを採用した。
「使い慣れた社内の書式を大きく変えずに電子化できる点が、導入の決め手でした。既存フォーマットを維持できることで、社内全体が違和感なく移行できました」(鶴田氏)
導入当初は、経理部門や総務、役職者など約20名を対象にスモールスタートで運用を開始。
テストを重ねながらルート設計やレイアウトの最適化を進め、運用設計を具体化していった。
「最初は想定通りに動かないこともありましたが、少人数で試したことで設定のコツを早くつかむことができました。使い方を確立してから全社へ展開できたのが良かったですね」(鶴田氏)
その後、運用が安定した段階で工事部門を含む一般社員にも展開を開始。現在では全社員40名が利用する全社的なシステムとして定着している。
また、同社では建設業特有の帳票構造に合わせ、5枚綴りの注文書・請書・請求書セットをCreate!Webフロー Cloud上で再現した。注文書と請書を同一データから自動生成し、条件書を裏面に印刷できるよう設計するなど、紙と同等の見栄えを保ちながら電子化を実現。さらに協力会社情報をマスター登録し、申請時の検索入力を可能とすることで、入力ミスや手戻りを防止している。
「細かなレイアウト調整にはかなり気を使いましたが、"紙と同じように出せる"という納得感が利用者には大事なんです。そこが整ったことで、安心して切り替えられました」(鶴田氏)
導入の効果
モバイル活用で変わる
建設現場のワークフロー改革
Create!Webフロー Cloudの導入により、鶴田電気の承認プロセスは大きく改善された。最も顕著な効果は、「申請や承認のためだけに出社する」という、現場中心の働き方と相反する慣行を解消できた点だ。旧システム利用時には、現場社員が一日の業務を終えた後に本社へ戻り、書類処理を行うなど負担が大きく、働き方改革を阻む要因となっていた。現在は、モバイル端末から申請や承認が可能になり、現場で業務を完結できる環境が整っている。
モバイル対応により、時間と場所に縛られずに承認できるようになったことで、書類処理の流れも大きく変わった。以前は、承認作業に時間がかかりすぎるため、社長・専務・取締役など役職者ごとに締め切り日を設け、それぞれが決まった日にまとめて処理を行っていた。現在では、申請がリアルタイムで回り、5〜6人の承認が必要な書類でも早ければ30分ほどで完了するようになった。これにより、書類の滞留が解消され、承認のスピードが飛躍的に高まっている。
「今では移動中の電車の中でも承認できます。東京と山梨を往復しているのですが、その時間が"非常にいい決裁タイム"になっています」(鶴田氏)
また、業務効率化の取り組みが、地域社会との関わりを支える業務にも広がっている。同社では、建設業者毎にある安全衛生協議会や地域団体の会合出欠を判断する書類処理が日常的に発生していた。これまではFAXで届いた案内を紙で回覧し、出席者の調整や承認を得るまでに時間を要していたが、現在は届いたPDFをそのまま申請フォームに貼り付けて回覧できるようになり、処理のスピードが格段に向上した。
「私たちの仕事は、地域の暮らしを支える方々との信頼関係があってこそ成り立ちます。だからこそ、地域の行事や会合にはできるだけ顔を出すようにしています」(鶴田氏)
地域行事や団体活動に関する書類の処理スピードは大幅に向上し、1日あたり平均5件の処理が迅速化。年間200時間以上の削減効果を生み出している。結果として、事務に費やす時間を減らし、地域の人々と直接向き合う時間を生み出すデジタル化が着実に根づきつつある。
■Create!Webフローで電子化した注文書類・請求書のイメージ
今後の展望
現場完結を見据えた
次の業務改革へ
鶴田電気では今後、Create!Webフロー Cloudの活用領域をさらに広げ、業務効率化を次の段階へと発展させる計画である。これまでは主に承認業務を中心に運用してきたが、今後は現場の点検や検査など、施工に直結する業務への展開も視野に入れている。
現在、Excel形式で行っている安全点検や工事完了検査をCreate!Webフロー Cloud上に移行し、タブレットひとつで入力から承認までを完結できる仕組みづくりを推進している。こうした取り組みを通じて、さらなる現場の生産性向上を目指している。
「スマートフォンやタブレットなど業務を快適におこなうための道具はすべて会社が用意しています。最終的には、パソコンやExcelに縛られず、現場で業務を完結できるようにし、社員が本来の現場業務に集中できる環境をつくりたいと考えています」(鶴田氏)
※取材 2025年9月
※記載の担当部署は、取材時の組織名です。